【2024年最新版】派遣法改正ポイントをわかりやすく解説!

2024年4月8日



厚生労働省の調査によると、現在派遣労働者として就労している方の数は、全国で169万人(令和3年6月時点)とされています。その派遣労働者の保護を目的とした法律が労働者派遣法です。2020年に改正され、派遣労働者の処遇についての項目が改善されました。この記事では派遣法改正のポイントをわかりやすく解説します。

労働者派遣法とは?


労働者派遣法とは、派遣事業の適切な運営と労働者保護のために1986年に制定された法律です。正社員に比べて派遣労働者の処遇が不安定であるため、今まで何度も法改正がおこなわれてきました。過去の主な改正としては、日雇い派遣の禁止や派遣期間の上限を3年間とすることなどがあります。

【2024年最新版】2020年施行の派遣法改正のポイントをおさらい


労働者派遣法は2020年に新たな改正が実施されました。詳しくは、厚生労働省が公表しているパンフレット「派遣労働者の≪同一労働同一賃金≫の概要」にて解説しています。

改正目的|同一労働同一賃金の実現

改正の主な目的は、正社員と派遣労働者における待遇格差の是正です。派遣労働者が正社員と同等の職務に従事している場合、同等の給与や待遇を受けられるようになります。格差是正のための具体的な方法として、労働条件の照会や情報提供及び説明の義務化が新たに定められました。

労働条件・賃金などの確認・照会の徹底

派遣先均等・均衡方式

派遣労働の場合は契約ごとに派遣先が変わります。派遣元は派遣先から正社員の待遇についての情報を取得し、均衡の取れる賃金を決定する必要があります。派遣先の情報を事前に確認することで、格差の発生しない形で手続きを進めることができます。

労使協定方式

派遣元と派遣労働者の間で、賃金の取り決めについてルールを設ける方法です。派遣先の正社員と同等の賃金を得られること、スキルアップなど技能の向上が見られる場合は賃金の改善がおこなわれることなどが、派遣を実施する前に協議されます。

派遣先から派遣会社への情報提供の義務付け

派遣先均等・均衡方式では、派遣先で働く正社員の給与を基に派遣従業員の賃金を決定します。そのため、派遣先の企業は派遣会社に情報提供をする義務を負うことになりました。仮に派遣先から情報提供を受けられない場合、派遣契約は結べないこととされています。

人材派遣会社から派遣社員への説明の義務化

派遣先の企業だけでなく、派遣会社も派遣社員に対して処遇に対する説明義務があります。派遣労働者として雇い入れるときや派遣先が決定したとき、派遣社員から求められたときに処遇についての説明をおこないます。なお、口頭ではなく分かりやすいように資料をもちいて説明しなければなりません。

【2024年最新版】2021年1月施行の派遣法改正について解説

派遣社員を雇い入れる際の説明の義務化

社会人の学び方の一つにリカレント教育がありますが、働くと学ぶを繰り返すことで、今の職でのスキルアップを目指すことを前提としています。一方リスキリングでは、職業の転換や将来発生する仕事のためのスキルアップを指しています。

労働者派遣契約書の電磁的記録の容認

派遣会社と派遣先との派遣契約書をデータでやりとりすることができるようになりました。以前は、企業同士の場合メールでの書類送付ができませんでしたが、改正され手続きが簡素化されます。

派遣先における派遣社員の苦情処理の義務の強化

過労や育児、介護についてなど、派遣社員から苦情が発生した場合、以前は派遣元のみが対応していましたが、今後は派遣先も共に対応することが義務化されるようになりました。

日雇派遣の契約解除時の休業手当の支払い

派遣労働者側の都合以外で契約解除になった場合、派遣会社は休業手当を支給するなどして、雇用の維持に努めなければなりません。ただし、無断欠勤など労働者の一方的な理由による契約解除の場合はその必要はありません。

【2024年最新版】2021年4月施行の派遣法改正について解説

「3年ルール」の雇用安定措置に係る派遣社員の希望聴取の義務化

派遣労働者の雇用の安定をはかるために、3年の雇用期間が終了した後は、派遣会社が派遣先に対して直接雇用を依頼していました。ですが、この手続きは企業同士のみのやりとりであったため、法改正によって労働者の意見も聞くことを義務化し、適切な支援をすることが求められるようになりました。

マージン率等のインターネットでの開示

派遣会社は、事業所ごとの派遣労働者の数や派遣先から受け取る手数料(マージン)の割合をインターネットなどで開示することが義務化されました。派遣先企業や派遣労働を希望する人にとって、派遣会社を選ぶ一つの基準となります。

【2024年最新版】2021年の派遣法改正に際して企業が注意する点

説明義務について

すでに派遣労働者のための教育訓練をおこなうためのカリキュラムを用意している派遣会社は多くありますが、派遣労働者の方への説明が義務となったため、現場で説明を実施するようマニュアルなどがあれば訂正する必要があります。

労働者派遣契約の電磁的記録について

契約書を電子化することで、押印の必要がなくなり、郵送ではなくメールで簡単に送付できるようになりました。すでに送付記録などをデータで管理している場合、より効率的な業務に変換できることでしょう。ただし、義務化されたわけではないため、書面での送付も問題にはなりません。

苦情の処理について

派遣先でも適切な対応ができるよう、マニュアル作成など体制を整える必要があります。苦情処理の責任者を選定するほか、派遣会社との連携方法を検討します。また、処理内容の記録方法についても事前に決めておくと、スムーズな対応ができるようになるはずです。

日雇い派遣について

日雇い派遣は元々不安定な働き方であったため、雇用が途切れてしまうことはやむなしとする認識がありました。しかし、契約解除が本人の責任ではない以上、派遣会社は雇用主として労働者の権利を確保する必要があります。労働者への雇用確保に努めなければならないという考えを派遣会社内に浸透させ、手当の内容を検討し直すことが大切です。

雇用安定措置について

派遣労働者は3年の契約期間満了後、自身の進路について、派遣先での直接雇用・別の派遣先での就労・派遣元での期限なし雇用・その他のうちから希望するものを選べるようになりました。派遣会社は本人の希望を確認するための機会を設けなければなりません。なお、本人の希望を聴取した内容は、記録として残しておく必要があります。

マージン率等の開示について

派遣会社はマージン率等の情報をウェブサイトなどで開示する必要があります。マージン率が高くても教育などに還元しているほか、マージン率が低いとマッチングを見極めないまま契約を結ばれてしまうこともあるため、一概にどちらがよいとはいえない点は注意が必要です。

【2024年最新版】派遣法改正のまとめ

派遣法の改正について解説しました。派遣労働者として就労する方は、自身の権利をしっかりと把握して、雇用の確保とキャリアアップのために適切な対応を求めるようにしましょう。企業担当者の方は、説明義務や情報開示の体制を整え、適切な対応と効率的な運営ができるよう取り組むことが大切です。

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